はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

「ある部分だけ」が有名な小説の話➁

アイルランドの小説家:スウィフトが書いた「ガリヴァ旅行記」。

自分が子供の頃に、その絵本やテレビ番組を見た記憶があります。

その為、「ガリヴァ旅行記」と聞くと自分の頭の中では、

大の字に寝たガリバーを無数の小人達が拘束している絵が思い浮かびます。

ガリヴァ旅行記】に対してそんなイメージをもっていた自分が、

原作小説を読んだ時に驚いたのは、この話には続きがあり、

そしてその続きを読まないと、作者が本当に書きたかった事が、

上手く伝わらないのではないか?と思いました。

 

まずは「ガリヴァ旅行記」の内容を簡単に説明します。

この小説は、主人公のガリヴァが滞在した「4つの王国」について、

思い出を語る形で話が進みます。

第1章「小人の王国」、第2章「巨人の王国」、第3章「天空の王国」、

第4章「馬の王国」の計4章で小説は構成されています。


自分が子供の時に見た絵本やテレビ番組は、

小説の第1章【小人の王国】を元に制作してました。

しかし、第1章だけでは作者が書きたかった事を、十分に伝えられません。
何故なら作者のスウィフトは、

第1章と第2章には関連性がある様に書いているからです。

 

この小説の第1章で、ガリヴァは小人達が住む島に漂着します。

漂着したガリヴァは、始めは小人達に拘束されますが、

小人達の王の部下になる事で、拘束をとかれて島で生活をします。

しかし、「ある行為」がきっかけで小人達との関係性が悪くなります。

そして、一部の小人達が自分の殺害計画を立てている事を知り、

ガリヴァは小人達の島を脱出します。

その時、ガリヴァの気持ちは以下の内容でした。

「漂着した自分を助けてくれた小人達の為に、

私は色々と協力したではないか!何がいけなかったんだ?」


しかし、ガリヴァは第2章で「巨人の王国」に来た事で、

小人達にとって、自分は非常に不快な存在だったと気付きます。

巨人の大きさは、ガリヴァの数十倍はあります。

なので、巨人達が普通の生活をしていても、会話の音量や体臭などが、

ガリヴァにとっては、数十倍に感じてしまいます。

その為、【巨人の王国】にいる間は、その事を我慢するしかありません。
ガリヴァはその時に始めて、自分は小人達にどんな存在として、

見られていたのかを思い知らされたのでした。

スウィフトが1章と2章を合わせて書きたかったのは、

この点だったのではないか?と、自分は思います。