高橋留美子氏が週刊少年サンデーで連載していた漫画「うる星やつら」。
自分が子供の時に、この漫画はアニメ化しました。
その【うる星やつら】のアニメの中で、
今でも憶えている、印象的だった話があります。
その話とは【そして誰もいなくなったっちゃ!?】という題名の話。
自分が、この話を初めて見たのが6歳ぐらいだったと思います。
でも、当時の自分はこの話を見ても、訳が分からなかったのです。
それから数年後「うる星やつら」の再放送を見た事で、
やっと、この話の面白さに気付いたのでした。
まずは、この話のあらすじを簡単に書いていきます。
ある島にやってきた、諸星あたると友人達。
この島に来た理由は、それぞれに届いた招待状で呼び出されたからです。
でも、誰に聞いても、そんな招待状なんて出していません。
更に、この島に来た交通手段を手配した者もいません。
その状況に不安になりながらも、雨が降って来たので、
一行は、その島にあった屋敷に入りました。
しかし、その屋敷に入ると唐突に音楽が流れ出しました。
その音楽とはマザーグースの「誰がコマドリを殺したか?」
その時、友人の1人が言いました。
【まるで、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」みたいだな・・・】
そして、一行が朝を迎えると、友人の1人が遺体で発見されました。
<補足>
漫画が原作のアニメを作られる時には、
原作にはない、アニメオリジナルの話が制作される事があります。
そして、この「そして誰もいなくなったっちゃ!?」という話も、
アニメオリジナルの話になります。
「そして誰もいなくなったっちゃ!?」という話は、
アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」という小説を、
ベースにして、話が構成されています。
そして、話の構成がとても丁寧に作られています。
まず、前半部分ですが、
登場人物達が「嵐の山荘」の状況になっている事が、提示されています。
捕捉:「嵐の山荘」=外部との連絡もとれない、閉じられた空間で事件が起きる設定の総称。
そして、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を、
登場人物の1人が説明する事で、この先の展開、
つまり「見立て殺人」が起きる事を、視聴者に提示しています。
捕捉:「見立てた殺人」=犯人が何らかの意図で殺害現場に細工する事の総称。
そして、2人目の遺体が発見された所でCMに入ります。
CMが空けて、後半部分が始まりますが、話の進行は加速していきます。
2人目の遺体が発見された事で、一行は互いに疑心暗鬼の状況になります。
しかし、その状況下でも登場人物達は、
「誰がコマドリを殺したか?」の歌詞を、なぞらえた遺体となって、
次々と発見されていきます。
そして、遂に最後の1人になってしまいます・・・。
今回、書いてみた【そして誰もいなくなったっちゃ!?】は、
OPとED、そしてCM枠の事を考えると、アニメは約23分の作品です。
しかし、その約23分間という時間内で、
小説の【そして誰もいなくなった】の世界観を演出しながらも、
【うる星やつら】の世界観も上手にまとめられた、面白い作品です。
そして、ミステリーを題材にしたアニメは色々ありますが、
この【そして誰もいなくなったっちゃ!?】は、
ある意味、ミステリーアニメの名作だと、自分は捉えています。