はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

石川賢の「魔界転生」紹介

小説家:山田風太郎の【魔界転生】は映像化、漫画化もされています。

そして、自分が山田風太郎の【魔界転生】を読むきっかけになったのは、

漫画家:石川賢が描いた【魔界転生】の存在があったからです。

今回は、その事について書いてみます。


自分が初めて「魔界転生」を知ったのは、映像化された作品からでした。

まず、一番初めに見たのが「東映版:魔界転生」でした。

その後「Vシネ版:魔界転生」をテレビの深夜放送で見ました。
でも、どちらとも自分には、ピンときませんでした。

それから数年後、古本屋で石川賢の「魔界転生」を見つけました。

安かったので、軽い気持ちで購入して読んでみたのですが、

これがまあ、面白かったのです!


「なんだ、この漫画!面白いぞ!じゃあ、原作小説はどんな話なんだ?」
と、思って山田風太郎の「魔界転生」を購入して読みました。

そして、原作小説を読み終わった後に、

「なんだ、あの漫画!原作小説をここまで無視して書いていたのか!」

と、二度驚きました。

 

この「描き下ろし漫画」を書いた石川氏は山田風太郎のファンでした。

なので「魔界転生」を書く事になった時に、

「原作の設定を使用して漫画を描いても、小説の面白さを越えられない!

なら、小説を読んだ事が無い人でも楽しめる作品にしよう!」
という構想で始めたそうです。

なので、この漫画の序盤は小説の設定に沿っていますが、

どんどん石川賢バージョンの【魔界転生】になっていきます。

*描き下ろしとは、ある媒体・グッズなどの為に描かれた絵や漫画などの事。

まず、敵の魔人がまあ強い!常人より身体能力が高いのは当たり前!

刀を振れば周りの人間を瞬殺するわ、皮膚が硬い為に刀で切れないとか、

手足が切り飛ばされても平気で動き続けるなど、まさしく化け物です!

でも、主人公の十兵衛も負けていません。

刀が通じないなら爆薬や特殊銃器を使用して立ち廻り、

物語中盤から身に着ける鎧なんて、

時代考証なんてお構いなしのデザインと性能を持っています!

そして、物語終盤で大量に登場する魔物達は、

機械と生命体が入り混じったH・R・ギーガー的なデザイン。

更に、その魔物達は異次元の存在という「クトゥルフ神話的」な世界観!

そんなごちゃごちゃな世界観を、

石川氏独特の画風と構図で見事に(強引に)まとめられています!



山田風太郎の「魔界転生」と石川賢の「魔界転生
まったく違う世界観で書かれていますが、どちらも面白いです!

何にも考えずに、ただ純粋にその世界観を楽しめる作品だと、

自分は思います。