はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

江戸川乱歩の「赤い部屋」紹介

推理小説やテレビドラマでも使用される設定に【プロバビリティの犯罪】というのがあります。

この【プロバビリティの犯罪】とは可能性の犯罪という意味です。

そして、この「プロバビリティの犯罪」をテーマにして、

分かり易く書かれた小説が、
1925年に発表された江戸川乱歩の「赤い部屋」という短編小説です。

今回は、その「赤い部屋」について書いていきます。

*Probability(プロバビリティ)=ある事が起こり得る確実性の度合いという意味。


この小説の冒頭部分は、

Tという男の「100人近くの人間を殺した」と語る所から始まります。

そして、Tは警察に捕まらない為の殺害方法を見つけた時の話を始めます。


ある夜、Tがお酒を飲んで自宅まで徒歩で歩いている時、

ふいに若い男に声を掛けられます。その若い男が言うには

「車の運転していたら、老人を撥ねてしまった!どこかに病院はないか?」

との事でした。

なので、Tは近くのM医院の事を思い出して、
そのM医院の場所を若い男に伝えます。

若い男はそれを聞いて、老人を車に乗せてM医院へと向かいました。
次の日の朝、Tが昨夜の事を思い出していると、ある事に気付きました。


【いくら酔っていたとはいえ、何で自分はM医院を若い男に伝えたんだ?
M医院なんて近所で評判のヤブ医者なのに?
それに外科専門のK医院の方が近かったじゃないか!
何故、その事を思い出せなかったのか?】


その後、その老人は亡くなったという話がTの耳に入りました。

その話を聞いた時、Tはこんな事を考え始めます。


【自分がM医院ではなくK医院を若い男に教えていれば、

あの老人は助かったのかもしれない。
でも、老人を車で撥ねたのは、あの若い男。

そして、その老人の処置に失敗して死なせたのはM医院。

つまり、自分はあの老人の死に関しては無関係の立場になる。
という事は、殺意を持ってこの様な行動を演じたら、

警察にも疑われない完璧な殺害方法ではないか!】
そこからTはその殺害方法を実践していきます。

この小説は短編の為、何処か物足りない小説だと自分は思います。

でも、この小説を読むと【プロバビリティの犯罪】とは、

普通の人でも気軽にできる犯罪だと気付くと思います。

さて、この記事を読んでくれた貴方に聞きます。
【貴方には、殺したい人はいますか?】
もし貴方に殺したい人がいるなら、その人の事をしっかり調べてください。

例えば、どんなアレルギーを持っているのか?どんな性格をしているのか?

どんな生活習慣があるのか?色々と調べてみましょう。

そして、殺したい人に対して計画を立ててみましょう。

ただし、殺害計画を立ててはいけませんよ!

「プロバビリティの犯罪」とは可能性の犯罪です。なので、
【あいつが痛い目にあえばいい!そして、自分は善意の第三者を演じる!】
この様な気持ちで計画を立ててみましょう。

そして、もし貴方が殺したい人に対して何らかの計画を立てれたなら、

貴方には「プロバビリティの犯罪」の才能がありますよ。