はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

ラヴクラフトの「インスマウスの影」について

アメリカの小説家:ラヴクラフトは自身が創作した神話の世界観を小説に
反映させる事で、今までの怪奇小説とは違う怪奇小説を書きました。
そして、ラヴクラフトが書いた小説の中で、
自分が一番好きなのが「インスマウスの影」という中編小説です。

なので今回は、その小説について書いてみます。

先ずは「インスマウスの影」のあらすじを簡単に説明します。
1927年の暮れから1928年の初頭にかけて、
連邦政府は秘密裏に「インスマウス」という港町の調査を行いました。
そして調査の結果、連邦政府は「インスマウス」を破壊して、その港町の住人を一斉検挙しました。
では何故、連邦政府がその様な行動をしたかというと、それは主人公の告発がきっかけでした。
そして、主人公が「インスマウス」で経験した事を語り始めます。

20歳を迎えた記念として、
主人公は母方の一族が住んでいる地域「アーカム」へ旅行に行くのですが、その道中で【忌み嫌われた港町:インスマウス】の事を聞きます。
では何故、人々がその港町を忌み嫌ったのかというと、
それは「インスマウス」には昔から不気味な噂が複数存在しており、
更には、町の住人達は【人間と何かの混血】みたいな姿をしていました。
その為、人々はこの港町を忌み嫌って近寄りもしませんでしたが、
主人公は「インスマウス」の事が頭から離れなかったのです。
その為、主人公は「インスマウス」を訪れますが、その時に知り合った老人から【インスマウスの異様な歴史】を聞く事になります。
その後、主人公は住人達から襲撃されましたが、何とか逃げ切って連邦政府に告発をしました。
その結果、連邦政府が動いて「インスマウス」は跡形も無く破壊され、すべてが終わったはずでした。

さて、この「インスマウスの影」という小説は、
物語の前半部分と後半部分では物語のテーマが変わります。
まず物語前半は、ラヴクラフトが創作した【クトゥルフ神話】がテーマになっています。
まず、この【クトゥルフ神話】では「旧支配者」と呼ばれる存在が神として登場しますが、その目的は人類を支配する事です。
その為、この「インスマウスの影」の前半部分では「旧支配者」に属する勢力が不気味な存在として登場します。
ですが、物語後半に入ると【遺伝】が物語のテーマに変わります。
その為、ラヴクラフトは2つの異なるテーマが不自然な形にならない様に、
物語前半の所々に後半への伏線を書いている為、物語後半からの展開を読者は自然に受け入れる事ができます。

さて今回、H・P・ラヴクラフトについて書きたくなり、
彼の小説を読み直したのですが感想としては、
【面白いけど古臭い怪奇小説】という感じでした。
当たり前ですよね。約100年前に書かれた怪奇小説ですから。
でも、ラヴクラフトの小説を色々と読んでいくと、
【あれ?この映画、ラヴクラフトの小説を意識している?】
【あの漫画家が書いた漫画は、クトゥルフ神話を意識している?】
【このゲームの敵の設定とデザインは、旧支配者を意識している?】
等々、色々な妄想をしてしまいます。
20世紀最後の怪奇小説家といわれた【H・P・ラヴクラフト
彼の世界観は時代に合わせて、今も存在すると自分は思います。


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