はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

山田風太郎の「誰にも出来る殺人」再読

小説家:山田風太郎の書いた小説といえば、
忍法帖シリーズ」や「魔界転生」などの『ぶっ飛んだ設定』の小説が思い浮かびますが、実は山田風太郎はミステリー小説も何作か書いています。
ですが、彼のミステリー小説は娯楽要素が多かったり、
エログロや異常心理が話の主軸にした小説もある為、
ミステリーというより、サスペンス要素が強い小説だと思います。
なので、彼の書いたミステリー小説は自分の好みではないのですが、
ひとつだけ強烈な印象を受けた小説があります。
その小説の題名は【誰にも出来る殺人】
なので、今回は山田風太郎が書いたミステリー小説の中で、
自分が1番好きな小説「誰にも出来る殺人」について書いてみます。

補足:ミステリーは【事件の謎や真相の解明を話の主軸】にした作品。
サスペンスは【緊張感や不安感を生み出す展開を話の主軸】にした作品。

1958年に読み切り連載として発表された「誰にも出来る殺人」
この小説はアパート【「人間荘」の12号室】に引っ越しってきた男が部屋にあった【ノート】を見つけた場面から始まります。
そして、その【ノート】には【「人間荘」の12号室】を借りた住人達が経験した事が書かれていました。
男は【ノート】に書かれた住人達の記録を読み始めました。

さて、この小説に関して山田風太郎はインタビューで、
『ぼくは落語の三題ばなしの様な異なった題を折り込んでまとめるというのが得意なんです。連作も好きですよ。
この中では三番目の下宿人の「幻の恋妻」の話が好きですね』と、
答えている様に「誰にも出来る殺人」は連作形式で書かれた小説です。
なので、12号室の住人が変わるたびにそれぞれの話は完結するのですが、
最後にそれぞれの話で登場した小さな点が繋がっていきます。
そして、この小さな点が繋がっていき、
今までの話が徐々に変質していく過程が本当に良いんですよ!
でも、この小説はミステリー好きな人が読んだら『なんか、モヤっとした結末だな』と、思うかもしれません。
ですが、記事の冒頭に書いたように山田風太郎の書いたミステリー小説は、
ミステリーというよりサスペンス要素が多いのです。
だから、この小説の結末は『これでいい!』と自分は思うのです。

補足:山田風太郎のインタビューは【山田風太郎・ミステリー傑作選1】
から抜粋した文章になります。
また、この傑作選には「誰にも出来る殺人」も編集されています。

haguture.hatenadiary.jp

山田風太郎の「魔界転生」について書いた記事も貼っておきます。



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