はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

諸星大二郎氏と星野之宣氏について

*今回の記事は【宗像教授伝奇考:特別版】に収録された両者の対談を参考にしています。

【「暗黒神話」の諸星大二郎氏と「宗像教授伝奇考」の星野之宣氏】

両氏は神話や伝承を題材とした漫画を書く為、
題材が被る事があるのですが、同じ題材でも全然違う話になります。
では、『同じ題材を使用しているのに、どこで違ってくるのか?』
今回は、その事について書いてみます。

先ず、両氏に共通している点は、題材となる神話や伝承の捉え方です。
そして、その捉え方を簡単に説明すると、
➀『神話は当時の人々の集団の原型である事』
➁『世界中の神話には共通する単語があり、その単語を調べると他の神話と繋がっている事』

以上2点が両氏に共通点する考え方です。
では、題材を同じ様に捉えている両氏はどこで違ってくるのか?
それは、その題材に対する印象の違いです。
なので、両氏が【菊理姫】という神を題材にして書いた漫画を、
比較しながら説明してみます。


*今回の記事では「菊理姫」に関する神話の記述は省略しています。

まず【菊理姫】とは日本神話で登場する神であり、

現世と死者の世界を繋ぐ道【黄泉平坂(ヨモツヒラサカ)】にいる神です。
そして、この【菊理姫】には2つの呼び名があり、
【キクリヒメ】もしくは【ククリヒメ】と呼ばれています。
なので、諸星大二郎氏が【菊理姫】を題材にした時は、
「キクリヒメ」という呼び名から、
菊理姫とは、死者の声を聞く人という意味だったのではないか?』
と、構想して「黄泉からの声」という漫画を書きました。
ですが、星野之宣氏が【菊理姫】を題材にした時は、
「ククリヒメ」という呼び名から、
菊理姫とは、死者の体を括る人という意味だったのではないか?』
と、構想して「菊理姫は何を告げたか?」という漫画を書きました。
つまり、同じ題材を使用しても作者が受けた印象によって、
作品の構想がまったくの別物になったのです。

諸星大二郎氏と星野之宣氏は自分の好きな漫画家です。
そして、漫画で取り扱う題材も漫画家としての経歴も似ています。

なので、自分なりに両氏の比較をしたかったので、
今回の様な記事を書いてみました。

*諸星氏の「黄泉からの声」は謎の声が聞こえる様になった女性が怪異に巻き込まれてしまう怪奇小説的な漫画です。そして、星野氏の「菊理姫は何を告げたか?」は古代日本人の死生観をベースとした歴史ミステリー的な漫画です。

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