はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

クリスティーの「アクロイド殺人事件」再読(再編集版)


*今回の記事は以前に書いた記事をベースに再編集した物になります。

1926年に発表されたクリスティーの【アクロイド殺人事件
この小説は、ある意味で非常に有名な小説です。
その為、この小説を読む前から犯人もトリックも知っていたので、
読む前は少々微妙な気持ちでしたが、いざ読んでみると面白く読めました。
では、何で自分が『この小説の犯人もトリック』も知っていたかというと、
この小説は発表された時に『こんなのフェアじゃない!アンフェアだ!』と新聞で批評されるぐらい当時のミステリーファンを驚かせた作品だからです。

haguture.hatenadiary.jp

*何故、アンフェアと批評されたのかについて書いた記事を貼っておきます。

 

補足:小説の題名が出版社によっては「アクロイド殺害事件」や「アクロイド殺し」と表記されています。

そもそも、推理小説家が推理小説を執筆する時には、
【事件に関する証拠と事件関係者のアリバイ】を書かなければいけません。
何故なら、推理小説の主人公が証拠と関係者のアリバイから犯人を見つける様に、
読者も証拠や関係者のアリバイから『犯人は誰なのか?』と考えるからです。
ですが、「アクロイド殺人事件」は【事件に関する証拠と事件関係者のアリバイ】を非常に上手くミスリードする構成になっています。


なので、ここからは自分の想像なのですが、
この小説の原稿を読んだ編集者は非常に驚いたと思います。
なので、アガサ・クリスティーに対して、
『先生!これでは犯人を指し示す証拠やアリバイが不十分ですよ!
それに、この内容だと読者は納得しません!書き直してくれませんか?』
と、言ったらアガサ・クリスティーは、
『貴方は証拠や関係者のアリバイが
読者に対して不十分と思ったのね?
だから、私はポワロに心理学的に分析した犯人像を語ってもらったの。
何故なら、読者がその点も注意して読んだら犯人はわかる様に書いたからよ』
みたいな、やり取りを想像してしまいました。


*LWTの「アクロイド殺人事件」より画像を引用。
あと今回、再読して気付いたのですが、
この小説から、ポワロは事件関係者を意図的に動かす様になったと思います。
では、どの様に意図的に動かすというと、
例えば
人物Aにポワロが『人物Bに会って事件の事を聞いて欲しい』と頼みます。
なので、人物Aは人物Bに会いに行きますが、
実はポワロの目的は別にあるというパターンです。

つまり、アガサ・クリスティーは【アクロイド殺人事件】を書いた時、
➀主人公が犯人の犯人像を指し示すセリフを使用する。
➁主人公が事件関係者を、意図的に動かす事。
この2つの要素を小説に加えました。

そして、この要素をクリスティーは他の小説でも随所に使用する様になります。
特異な結末で有名な「アクロイド殺人事件」ですが、
再読した事で【クリスティーの世界観が構築されるきっかけになった小説】と思う様になりました。

*記事を読んでいただき、ありがとうございます。
 只今、グループの【ランキング】に参加をしているので、
 お手数ですが上記バナーをクリックをしていただけると励みになります。