はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

小説感想、妄想

京極夏彦の「地獄の楽しみ方」

地獄の楽しみ方 17歳の特別教室 作者:京極 夏彦 講談社 Amazon 文庫版 地獄の楽しみ方 (講談社文庫) 作者:京極夏彦 講談社 Amazon 【小説家:京極夏彦の「地獄の楽しみ方」】この本は京極夏彦が「特別講座」で講義した内容を文書化している為、京極夏彦の言…

クリスティーの「予告殺人」(再編集版)

*今回の記事は、以前に書いた記事をベースに再編集した物になります。 *BBCの「ミス・マープル」から画像を引用。【アガサ・クリスティーが創作した探偵:ミス・マープル】本来、彼女は【読み切り型】の連載小説の為に創作された存在でした。しかし、読者…

「ミス・マープルと13の謎」(再編集版)

*今回の記事は、以前に書いた記事をベースに再編集した物になります。 【「エルキュール・ポワロ」と「ミス・マープル」】 この2人はアガサ・クリスティーが創作した探偵ですが、小説内で起きた事件の解決方法には違いがあります。まず、ポワロの場合は関…

怪奇小説と推理小説の違いとは➁:再編集版

*今回の記事も、自分が以前に書いた「怪奇小説と推理小説の違いとは」という記事を再編集した物になります推理小説を読んだ人ならわかると思いますが、推理小説の主人公は助手的な役割を持った人物とペアになって事件を解決します。では何故、主人公と助手…

怪奇小説と推理小説の違いとは➀:再編集版

*今回の記事は、自分が以前に書いた「怪奇小説と推理小説の違いとは」という記事を再編集した物になります。 ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人 (角川文庫) 作者:エドガー・アラン・ポー KADOKAWA Amazon 1841年に米国の怪奇小説家:エドガ…

馳星周の「黄金旅程」紹介

黄金旅程 (集英社文芸単行本) 作者:馳星周 集英社 Amazon 小説家:馳星周(ハセ・セイシュウ)の小説「黄金旅程」。今回は、この小説について書いてみます。2000年代初頭の北海道。この小説の主人公である蹄鉄師:平野は競走馬【エゴンウレア】の蹄鉄を…

H・P・ラヴクラフトについて

*画像は「アトラス公式HP」から引用。今から約20年前の事になりますが、 アトラスという会社が発表した『ペルソナ2』というゲームがありました。 このゲームはRPGなのですが、そのストーリーやゲームの世界観は、フロイトの【精神分析学】で書かれ…

「働かないアリに意義がある」の紹介

ヤマケイ文庫 働かないアリに意義がある 作者:長谷川 英祐 山と溪谷社 Amazon 進化生物学者:長谷川英祐が書いた「働かないアリに意義がある」は、 彼が研究している「真社会性生物」ついて書かれています。 まず「真社会性生物」について簡単に説明します。…

山田風太郎の「魔界転生」再読

自分は山田風太郎の小説は数本しか読んでいませんが、 「魔界転生」は山田氏が書いた最高傑作だと自分は思います。 この小説は冒頭部分はオカルト的な世界観から始まります。 そこから、エロティシズム・悲哀・悔恨・グロテスク・暴力・計略などの 娯楽要素…

A・M・リンドバーグの「海からの贈り物」紹介

海からの贈物 (新潮文庫) 作者:アン・モロウ・リンドバーグ 新潮社 Amazon 今回、書いてみるのは、 A・M・リンドバーグが書いた短編小説「海からの贈り物」。 この小説は面白いかと聞かれたら、面白くないです。 そして、この小説を分類するなら、私小説なの…

W・L・デアントリアの「ホッグ連続殺人」再読

ホッグ連続殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:ウィリアム・L. デアンドリア 早川書房 Amazon W・L・デアントリアが1979年に発表した「ホッグ連続殺人」。この小説は、ニューヨーク州の架空の都市「スパーダ」を、 舞台にした推理小説です。 まずは、この…

小泉八雲の「常識」紹介

「自分が解らない事には、投資しない事」。この言葉は投資家:ウォーレン・バフェットの言葉です。 確かに「自分が解らない事」には、投資をしない事は当然の事です。 しかし、その逆もあるわけです。 つまり、【その事を解っている人間でも、騙される】とい…

小泉八雲の「破約」紹介

「二股掛けられた女同士が言い争い、男が仲裁する場面て、 ドラマとかでよくあるけど、何で女同士で言い争うんだ? 悪いのは男なのに?」。このセリフは、自分が昔、読んだ漫画で出てきたセリフです。 漫画の作品名は、思い出せなかったのですが、 小泉八雲…

小泉八雲の「安芸之助の夢」紹介。

寝ている時に見る夢は、起きたら忘れてしまいます。 でも、たまに夢で見た事が、 まるで本当に経験した事の様に感じる事があります。 これは夢の印象が強い為に、 「脳の記憶を司る部分が一時的な錯覚をする為に起る現象」 と聞いた事がありますが、本当の所…

ハーン(小泉八雲)の「怪談・奇談」再読

怪談・奇談 (角川文庫) 作者:ラフカディオ・ハーン,田代 三千稔 KADOKAWA Amazon 1890年にひとりのギリシャ人が日本に来ました。 彼の名前は「ラフカディオ・ハーン」。 日本で生活を始めた彼は、日本に帰化して「小泉八雲」と名乗りました。 それから1904年…

「ある部分だけ」が有名な小説の話③

現代語訳 学問のすすめ (ちくま新書) 作者:福澤諭吉 筑摩書房 Amazon 自分が中学生の時、 歴史の授業で習った偉人のひとりに福沢諭吉がいました。 当時の自分が、テストの為に福沢諭吉とセットで覚えたのは、 彼の著書【学問のすすめ】と、 その序文【天は人…

「ある部分だけ」が有名な小説の話➁

ガリヴァ旅行記(新潮文庫) 作者:ジョナサン・スウィフト 新潮社 Amazon アイルランドの小説家:スウィフトが書いた「ガリヴァ旅行記」。 自分が子供の頃に、その絵本やテレビ番組を見た記憶があります。 その為、「ガリヴァ旅行記」と聞くと自分の頭の中で…

「ある部分だけ」が有名な小説の話➀

知名度のある小説は、映像化されたり、他の分野で引用されたりします。 しかし、その小説の【ある部分】だけが有名になると、 その部分だけで、その小説自体をイメージしてしまって、 実際に作者が書きたかった内容は、上手く伝わっていないのではないか? …

ポール・ギャリコの「猫語の教科書」再読

猫語の教科書 (ちくま文庫) 作者:ポール・ギャリコ 筑摩書房 Amazon 今回は、アメリカの小説家:ポール・ギャリコが書いた小説、 「猫語の教科書(1964年)」について書いてみます。 小説のあらすじを簡単に説明します。 ある日、小説家の元に意味不明な文字…

伊藤計劃の「The Indifference Engine」再読

The Indifference Engine 作者:伊藤計劃 早川書房 Amazon 病気の為に、34歳で亡くなられた伊藤計劃氏。今回は、 伊藤氏の短編集「The Indifference Engine」について書いてみます。 この短編集の巻末には、 伊藤氏の未完小説【屍者の帝国】が編集されていま…

伊藤計劃の「虐殺器官」再読

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) 作者:伊藤 計劃 早川書房 Amazon 伊藤計劃(イトウケイカク)というSF小説家がいました。 彼は2009年に34歳の若さで亡くなりました。 なので彼の長編小説は、 「虐殺器官(2007年)」と「ハーモニー(2008年)」の2作のみ。 後は…

カレル・チャペックについて➁  「山椒魚戦争」再読

山椒魚戦争 (岩波文庫) 作者:カレル チャペック 岩波書店 Amazon チェコの小説家:カレル・チャペックが、 1936年に発表した長編小説「山椒魚(サンショウウオ)戦争」。 まずは、この小説のあらすじを簡単に説明します。 真珠を採取できる漁場を探していた…

カレル・チャペックについて➀

haguture.hatenadiary.jp毎週、金曜日に「はてなブログ」から出題される「今週のお題」。 その「今週のお題」で以前「SFといえば」というお題がありました。 そのお題を見てたら、小説家:カレル・チャペックについて、 書きたくなったので書いてみます。 カ…

「荒木飛呂彦の漫画術」紹介

荒木飛呂彦の漫画術【帯カラーイラスト付】 (集英社新書) 作者:荒木飛呂彦 集英社 Amazon 前回のブログでは「荒木飛呂彦の漫画術」を引用した部分がありました。なので、改めてこの書籍を紹介します。 この「荒木飛呂彦の漫画術」という本は、 漫画家:荒木…

トマス・ハリスの「羊たちの沈黙」再読

羊たちの沈黙 (新潮文庫) 作者:トマス ハリス 新潮社 Amazon 自分の本棚にある小説家:トマス・ハリスの作品は、「レッド・ドラゴン」と「羊たちの沈黙」と「ハンニバル」の3冊です。 そして、その中で一番面白いのが、この「羊たちの沈黙」です。 自分は【…

ハリイ・ケメルマンの「九マイルは遠すぎる」再読

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2) 作者:ハリイ・ケメルマン 早川書房 Amazon 推理小説の設定で「安楽椅子探偵」というのがあります。 この設定は簡単に説明すると、探偵が事件現場を調査するのではなく、 事件の情報を元に推理して、事件を…

有栖川有栖の「双頭の悪魔」再読

双頭の悪魔 江神シリーズ (創元推理文庫) 作者:有栖川 有栖 東京創元社 Amazon 推理小説家:有栖川有栖の「双頭の悪魔」。 有栖川氏の作品で、自分が一番お気に入りの長編推理小説です。 推理小説の設定で「嵐の山荘」というのがありますが、 その設定を使用…

久々に「BAR」で飲んだから③

バーにかかってきた電話 ススキノ探偵シリーズ 作者:東 直己 早川書房 Amazon 久々に「BAR」で飲んだという事だけで、 レイモンド・チャンドラーの「長い別れ」と、 O・ヘンリの「失われた混合酒」についてブログで書いてみました。その流れで今回は、1993年…

久々に「BAR」で飲んだから➁

O・ヘンリ短編集 (2) (新潮文庫) 作者:O・ヘンリ 新潮社 Amazon 【コン・ラントリはケニリィの酒場で、カウンターの酔えない方の側で働いていた。読者諸君や私などは、その向かい側にガチョウみたいに1本足で寄りかかって、1週間分の給料を、喜んではたい…

久々に「BAR」で飲んだから➀

長い別れ (創元推理文庫) 作者:レイモンド・チャンドラー 東京創元社 Amazon この前、久々に夜の街を、満喫してきました。小腹がすいたので1件目は「焼き鳥屋」で軽く食事。焼き鳥屋を出た後、「なんか、飲み足りないな・・・」と夜の街を歩いてたら、「BAR…