はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

「ある部分だけ」が有名な小説の話③

自分が中学生の時、

歴史の授業で習った偉人のひとりに福沢諭吉がいました。

当時の自分が、テストの為に福沢諭吉とセットで覚えたのは、

彼の著書【学問のすすめ】と、

その序文【天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず】でした。

大人になってから、この「学問のすすめ」を読んだ時に、

「え?この序文、本来こういう意味だったの?」と驚いたと同時に、

「いやいや、序文の続きも記載しないと、ダメでしょ!」とあきれました。

 

学問のすすめ」の序文は、けっこう長めなので、

教科書で引用すると、文字数などの色々な制限があるのでしょう。

しかし、序文には福沢諭吉が【学問のすすめ】を書いた動機と、

福沢諭吉の当時の社会に対する意思表明が書かれています。
その序文を簡略化すると、以下の内容になります。


【「天は人の上の人を造らず、人の下に人を造らず」という言葉がある。

この言葉は「人が誕生した時は、皆、平等の存在である」という意味だ。

しかし、人間社会を見渡すと、身分の差、貧富の差がある。

その差を生むのはなんなのか?それは、学問の差である。

確かに人が誕生した時には、身分の差もなく皆、平等の存在である。

しかし、学問に励んで物事をよく知る者は、身分も富も得れるが、

無学の者は、そのまま落ちぶれてしまうだろう】

 

福沢諭吉がこの「学問のすすめ」を書いた当時は、

身分の差によって、得られる知識には制限がありました。

でも、これからの時代は、得られる知識の制限がなくなるから、

自らの努力で知識を得る事で、身分など関係なくなるぞ!と、

福沢諭吉は【学問のすすめ】で書いています。

そして、教科書に記載されたあの一文だけでは、

学問のすすめ」について説明不足じゃないか?と思います。