はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

横溝正史の「真珠郎」再読

 

推理小説の有名なトリックで、
一人二役」と「顔の無い死体」というトリックがあります。
・「一人二役」を説明すると、人物Aは実は人物Bだった。という設定。
・「顔の無い死体」を説明すると、顔の損傷が酷い死体が見つかり、
所持品から人物Aと判断したが、実は死体は人物Bだった。という設定。

ただし「一人二役」と「顔の無い死体」というトリックは、
単品では使用されません。この2つのトリックは調合され、
作品の至る所に配置されて、結末で回収されます。
横溝正史は、この2つのトリックの調合が本当に上手で、
映画化された有名な作品でも使用されてます。

この「真珠郎」は横溝正史の作品の中では、知名度はあまりないですが、
横溝正史が「一人二役」と「顔の無い死体」という2つのトリックを、
横溝正史の世界観らしく調合された中編小説です。
そして、
後の金田一耕助シリーズに繋がる作品だと自分は思います。