はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

横溝正史

横溝正史の「本陣殺人事件」再読

自分は推理小説を読みますが、密室トリックとは相性が良くありません。その為、密室トリックが登場する小説には感情移入が出来ません。なので、若い時に読んだ角川文庫版「本陣殺人事件」の印象は、【「本陣殺人事件」よりも、この文庫本に編集されている「…

何故、横溝正史は金田一耕助を戦地に行かせたのか?

*今回の記事は、以前に書いた記事を訂正した物になります。推理小説家:横溝正史は【一人二役】と【顔の無い死体】というトリックを組み合わせて使用する事が上手な小説家です。また、このトリックの組み合わせに【戦争】を絡めた設定もあります。なので先…

横溝正史の「犬神家の一族」➁

*角川シネマコンサートのポスター画像より引用。横溝正史が書いた「犬神家の一族」に登場する【犬神佐清(スケキヨ)】この人物は頭から白いゴムマスクをすっぽりと被り、目だけが出ているという特徴的な外見をしています。また、小説の終盤では湖面から足…

横溝正史の「犬神家の一族」➀

金田一耕助ファイル5 犬神家の一族 (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 自分は推理小説家:横溝正史の金田一耕助シリーズが好きです。なので、このブログを始めた頃に『お気に入りの横溝正史の作品』という記事を書いたのですが【犬神家の一族】は…

金田一耕助の最後の事件について③

1975年、横溝正史は約10年ぶりに金田一耕助の新作を発表しました。 そして、その新作を執筆中に【金田一耕助シリーズ】を締めくくる為、横溝正史は以下の様な構想をしています。先ず『金田一耕助と等々力警部』のコンビで小説を書き、次に『金田一耕助…

金田一耕助の最後の事件について➁

金田一耕助ファイル20 病院坂の首縊りの家(上)<金田一耕助ファイル> (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 推理小説家:横溝正史の長編小説「病院坂の首縊りの家」。 この小説が連載された1975年当時、小説には【金田一耕助最後の事件】という…

金田一耕助の最後の事件について➀

ここ数年の事ですが、【終活】という言葉を聞くようになりました。なので、【終活】とは具体的にどんな意味なんだ?と調べてみると、【より良い最後を迎える為の準備を行う大切な活動】の事を【終活】というそうです。『へぇ~【終活】て、そういう意味なん…

横溝正史の「真珠郎」再読の再編集

*自分が以前に書いた【真珠郎:再読】の記事を読み直してみると、 この小説に関して色々と説明不足な点があると感じました。 なので、以前に書いた記事に補足部分を付け足して書き直してみました。 真珠郎 「由利先生」シリーズ (角川文庫) 作者:横溝 正史 …

横溝正史の「夜歩く」再読

金田一耕助ファイル7 夜歩く<金田一耕助ファイル> (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 1948年に発表された横溝正史の「夜歩く」 この小説は「金田一耕助シリーズ」3本目の長編小説になります。今回は「夜歩く」を再読して気付いた点を書いて…

横溝正史の「夜歩く」再読の準備

「夜歩く」という横溝正史が書いた長編小説があります。 この小説は、自分が若い時に何気なく購入して読んだのですが、 序盤で犯人がわかってしまった為、何か微妙な気分で読み終えました。何故、自分は小説の序盤で犯人がわかってしまったのか? それは、こ…

横溝正史とアガサ・クリスティー

横溝正史の「金田一耕助シリーズ」は、 第2作目の「獄門島」によって、その世界観が決まったと思います。 なので今回は、その当時の横溝正史について書いてみます。 「本陣殺人事」を書く以前の横溝正史は、 現実的な推理小説を推理小説を書く事が苦手でし…

横溝正史とディクスン・カー

自分は横溝正史の「金田一耕助シリーズ」が好きです。 なので、このブログでは横溝正史の小説について色々と書いてきました。 でも、自分は「本陣殺人事件」という小説とは相性が悪いです。 何故ならこの小説は、 自分が苦手な「密室トリック」が主題になっ…

Whodunit(フーダニット)と自分

このブログでは、自分が過去に読んだ小説についても書いています。そして、過去に読んだ推理小説について書く時には、 推理小説で書かれているトリックや犯人の名前を、 なるべく書かない様に意識しています。 そして、自分がその様な考え方になったのは、 …

「横溝正史の初期短編集」紹介

自分の手元にある横溝正史の短編集は2冊あります。 今回は、その2冊について簡単に紹介します。 恐ろしき四月馬鹿 (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon まず、1冊目は「恐ろしき四月馬鹿(エイプリルフール)」こちらの短編集は、 横溝正史の処女…

横溝正史の文庫本といえば、杉本一文(スギモト イチブン)

杉本一文『装』画集[新装版]〜横溝正史ほか、装画作品集成 (TH ART SERIES) 作者:杉本 一文 書苑新社 Amazon イラストレーターであり、銅版画家でもある、杉本一文。彼は自分が好きな小説家:横溝正史にも関係した人物です。 どの様な関係かというと、 彼は…

横溝正史の「女王蜂」再読➁

前回の記事で横溝正史の「女王蜂」は、 推理劇と悲劇が両立された作品だと書きました。 今回はその点を、もう少し書きたくなったので書いてみます。 まず、推理劇を成立させる為には、犯罪を犯した人物が必要になります。 そして、その人物は自身に疑いが掛…

横溝正史の「女王蜂」再読

金田一耕助ファイル9 女王蜂 (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 自分は小説家:横溝正史の推理小説が好きです。 なので「お気に入りの横溝正史の作品」という記事を以前に書きました。 その記事を書いた時は、自分が今まで読んだ横溝正史の小説の…

「ある部分だけ」が有名な小説の話④

八つ墓村 (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 推理小説家:横溝正史が書いた長編小説「八つ墓村」。 この小説は何度も映像化されています。 自分は映像化された「八つ墓村」を見た後に、原作を読んだのですが、 映像化された「八つ墓村」のイメージ…

横溝正史の「悪魔の手毬唄」再読

金田一耕助ファイル12 悪魔の手毬唄 (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 横溝正史の作品で1番好きな作品です。金田一耕助シリーズの集大成とも思います。そして、読み終わった後に、気持ちが沈む作品です。初めて読んだ時は、気付かなかった点も再…

横溝正史の「悪魔が来りて笛を吹く」再読

金田一耕助ファイル4 悪魔が来りて笛を吹く (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 「悪魔が来りて笛を吹く」なんて、印象的なタイトルなんだろう!初めて読んだ時、ただそう思いました。そして、改めて読み直すとその怪奇小説的な部分が、しっかりと…

戦地に行った「金田一耕助」と帰還した「金田一耕助」は同じ人物か?

推理小説の「顔の無い死体」というトリックは、実は虚偽自殺も、条件によっては「顔の無い死体」のトリックに分類されます。※具体例を出すと、遺書と所持品を残して、人物Aは自殺した状況だが、実は人物Aは生存している。横溝正史は「一人二役」と「顔の無い…

横溝正史の「獄門島」再読

金田一耕助ファイル3 獄門島 (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 推理小説の設定で「嵐の山荘」という物があります。「嵐の山荘」を簡単に説明すると、山荘に集まった数人が、突然の嵐の為、外部から遮断され、閉じ込めらてしまいます。その外部と…

横溝正史の「黒猫亭事件」再読

金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件<金田一耕助ファイル> (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 推理小説のトリックのひとつに【顔の無い死体】という設定があります。この設定は、身元不明の死体(顔が損傷・首が無い・火災で黒焦げなど)が発見さ…

横溝正史の「真珠郎」再読

真珠郎 「由利先生」シリーズ (角川文庫) 作者:横溝 正史 KADOKAWA Amazon 推理小説の有名なトリックで、「一人二役」と「顔の無い死体」というトリックがあります。・「一人二役」を説明すると、人物Aは実は人物Bだった。という設定。・「顔の無い死体」を…

お気に入りの横溝正史の作品

自分の中で推理作家といえば、アガサ・クリスティー、江戸川乱歩、そして、横溝正史。では独断と偏見による、自分好みの横溝正史の作品を書いていきます。➀「真珠郎」横溝正史が創作した探偵といえば、金田一耕助ですが、もうひとり「由利麟太郎(ユリ・リン…