はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

【原作の映像化】について:前編


*LWTの「名探偵ポワロ」より画像を引用(ポワロを演じたデヴィッド・スーシェ


【ミステリーの女王アガサ・クリスティーが創作した名探偵ポワロ

このポワロが登場する小説は映画化やドラマ化もしていますが、
その中で自分が好きなのが、イギリスのロンドン・ウィークエンド・テレビ(通称:LWT)が制作したテレビドラマ版「名探偵ポワロ」です。
というのも、LWTが制作した「名探偵ポワロ」は脚本が良い為、
クリスティーの世界観を違和感なく楽しめたからです。


*LWTの「名探偵ポワロ」より画像を引用(ヘイスティングを演じたヒュー・フレイザー

さて、LWTが制作した「名探偵ポワロ」では、
ポワロの友人であり相棒でもあるヘイスティングという人物が登場します。
しかし、この2人は性格が全然違います。
その為、ポワロが『ヘイスティング、いつも言いますが・・・・』と、
小言を言い始めると『いや、ポワロさん。あのですね・・・・』と、
ヘイスティングが受け答えする場面がドラマ内では何回もあります。
ですが、この様な2人のやり取りは原作小説にはありません。
だけど自分は、このドラマが原作小説を改変したとは思いません。
何故なら、原作小説に書かれているポワロとヘイスティングの設定を脚本家がしっかりと捉えているからです。
その為、原作小説には無い2人の会話の場面を見ても、
『また、ポワロとヘイスティングが言いあってる』と、見ている方も自然と受け入れられるのです。

つまり、原作の設定をしっかりと捉える事が出来る脚本家なら、
原作の【手を加えてはいけない部分】と【手を加えていい部分】を明確にして脚本を書く為、原作の世界観を壊す事なく映像化できます。

では、原作の設定を捉えられない脚本家だと、どうなるのか?
その例として、LWTが制作した「名探偵ポワロ」の「オリエント急行殺人事件」で行われた改悪を紹介します。

アガサ・クリスティーの「オリエント急行殺人事件」】
この小説はアガサ・クリスティーの代表作であり、自分のお気に入りの推理小説のひとつです。
ですが、LWTが制作した「オリエント急行殺人事件」では、
何故かポワロが敬虔なキリスト教徒になっています。
その為、ドラマの途中に何度も神に祈るポワロの場面が挟まれていたり、
事件の真相を解明したラストシーンでポワロが、
『ああ!神よ!この様な決断をした私は正しかったのでしようか?』みたいな事を言って、このドラマは終わります。
なので、このドラマを見た後、以下の様な不満が湧き出ました。

『おい!自分が見たかったのは推理ドラマなんだよ!
それなのに何だ!この中途半端なドラマは!
それに、何でポワロがキリスト教徒になってんの?ポワロがキリスト教になったせいで、原作には無い場面を付け加えるに事になってんじゃん!』

つまり、何が言いたいかというと、
原作の設定をしっかりと捉えられない脚本家が脚本を書くと、
原作の【手を加えてはいけない部分】と【手を加えていい部分】を明確に出来ない為、原作の表面は取り繕っても違和感がある作品になるのです。
補足:「オリエント急行殺人事件」の制作前にLWTの体制が変更した事で撮影に何らかの影響があったかもしれません。

bunshun.jpさて、今回この様な記事を書いたのは【セクシー田中さん:脚本トラブル】という事件があったからです。
そして、この様な事件が起きたのは、脚本業界とテレビ局業界と出版業界は80年前から何も変わっていない為に起きたと自分は思います。
なので、次回はその事について書いてみます。


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