はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

ラヴクラフトの「潜み凄む恐怖」について

ラヴクラフトは遺伝をテーマにした怪奇小説を何作か書いています。
では何故、彼が遺伝をテーマにした小説を書いたかというと、
それは『彼自身が常に感じていた不安』だったからだと思います。
なので、今回は彼の小説「潜み凄む恐怖」を紹介しながら、
ラヴクラフトと遺伝について書いてみます。

1928年に発表された小説「潜み凄む恐怖」
この小説の冒頭は、猛獣に襲われた様な死体がたくさん転がっており、
村人の何割か連れ去られた村に主人公が来た場面から始まります。
そして、この村で起きた惨劇は、
『昔から目撃されている怪物の仕業に違いない』との証言がありました。
そこで、主人公は仲間を連れて怪物の目撃情報があった【マーテンス館】という館に向かいます。そして、夜になり彼らの前に怪物が姿を現します。


この【潜み凄む恐怖】では、遺伝によって受け継がれた特徴ある

怪物の目によって怪物のおぞましさをラヴクラフトは表現しました。

また、ラヴクラフトが遺伝をテーマにした他の小説では、

普通の生活をしていた人間が、

受け継いだ遺伝によって怪物化する様子が書かれています。
そして、これは『彼自身が常に感じていた不安』を、

小説に反映したのではないか?と、自分は思います。
どういう事かというと、ラヴクラフトの父親は彼が3歳の時に【不全麻痺】により精神に異常をきたして病院に収容されます。
そして、ラヴクラフトが8歳の時に父親は亡くなります。
その後、彼は母親の実家に引き取られるのですが、母親の家系は血縁結婚を繰り返してきた為、その弊害が発症していた家系でした。
そして、ラヴクラフトの母親も精神に異常をきたして亡くなりました。
つまり、父親も母親も精神に異常をきたして亡くなった事で、
ラヴクラフトは【いつか自分も精神に異常をきたしてしまうかも?】
と考えたのではないでしょうか?
また、血縁結婚を繰り返した母親一族の血が自分にも遺伝している事で、
ラヴクラフトは【自分の虚弱体質は母親の一族からの影響なのか?】
と考えたのではないでしょうか?

だから、『彼自身が常に感じていた不安』の原因でもある、
遺伝をテーマにした怪奇小説を何作も書いたのではないか?と、
自分は妄想をしてしまいます。


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