はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

ジョセフィン・テイの「時の娘」再読

【真理は時の娘であり、権威の娘ではない】
                   哲学者:フランシス・ベーコン

【『真理は時の娘』という言葉から始まる「時の娘」】
この小説は【歴史ミステリー】の元祖といわれた小説です。
そして、作者のジョセフィン・テイは1951年に「時の娘」を発表しましたが、その翌年の1952年、彼女は50歳で亡くなります。
なので、もしも彼女が長生きをしたら、
この小説の様な【歴史ミステリー】を何作か書いたのかもしれません。

この小説はロンドン警視庁のグラント警部が大怪我をして、
入院生活をしている場面から始まります。
そして、ある事がきっかけで警部はリチャード3世】の肖像画が気になる様になります。
では何故、警部がその肖像画が気になったかというと、
警部は長年の職務経験で様々な犯罪人の顔を見てきたのですが、
肖像画の【リチャード3世】の顔を見ていると様々な歴史書、戯曲で悪人として書かれた人物の顔とはどうしても思えなかったのです。
その為、警部は入院中の暇つぶしとして【リチャード3世】に関する文献に目を通し始めます。
さて、この小説の面白い点は【リチャード3世】に関する文献を、
警部は関係者の証言として読み進めていく点です。

例えば、ある文献の作者を調べたら、
その作者は【リチャード3世】が生きている時には、まだ子供でした。
なので、警部は『これじゃあ、ただの伝聞だ!証言の価値もないぞ!』
と、文献に毒づきながらも、
じゃあ、この作者は誰から【リチャード3世】の事を聞いたのか?
という新たな疑問が起きて話が進んでいきます。

【歴史ミステリー】というジャンルは、
【提供されるデーターはすべて史実に記載されているものだけ】
というルールがあり、「時の娘」はそれを忠実に踏まえた作品です。
ですが、史実に記載されたデーターの使い方によっては【歴史ミステリー】は独創的なお話になります。
そして自分は、独創的な【歴史ミステリー】も好きなので、
次回は独創的な【歴史ミステリー(漫画)】について書いてみます。


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