はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

江戸川乱歩は「何の天才なのか?」➁


前回の記事に書きましたが、江戸川乱歩が認識しているスリルと、

普通の人が認識しているスリルは違います。

今回は、その事ついて書いてみたいと思います。

 

まず、スリルという単語を辞書で調べると【ぞっとする感じ】

【ハラハラする感じ】【戦慄】を指し示す言葉だそうです。

例えを出すなら、

普通の人が怪奇小説を読んでゾッとする感覚もスリルという事です。
でも、江戸川乱歩のスリルは普通の人と違います。


*ここからは、角川ホラー文庫「火星の運河」を参考にして書いてます。

江戸川乱歩は「火星の運河」の中で、スリルについて言及しています。

そして、乱歩はスリルを感じる書籍として、

ドストエフスキーの【罪と罰】と【カラマーゾフの兄弟】をあげています。
自分はこの部分を読んだ時、正直【は?何を言ってんだ?】と思いました。

更に乱歩は【罪と罰】と【カラマーゾフの兄弟】の一部分を取り上げて、

どの場面で、どの様なスリルがあるのか?と色々と解説しているのですが、

この時点で乱歩という人物は、自分には理解ができないと思いました。
というのも、自分も若い時に、

ドストエフスキーの「罪と罰」や「カラマーゾフの兄弟」を読みましたが、

どう読んだら、あのくそ長くて、文字びっしりで、退屈なあの小説から、

スリルを感じ取れるのでしょうか?

そして、乱歩はスリルこそ怪奇小説の原点であると書いてから、

江戸川乱歩自身が読んだ書籍を【9種類の怪奇】に分類して、

解説していますが、その部分も自分では理解できません。

この「9種類の怪奇」で江戸川乱歩が取り上げている書籍は、
怪奇小説推理小説幻想文学、SF小説、古典文学など、

見事にジャンルはバラバラです。(しかも和洋中取り揃えております)。


もう、何なんでしょう?

江戸川乱歩にとっては書籍のジャンルなんて意味が無いのですよ!

どんな書籍を読んでも、スリルを感じるのが江戸川乱歩なんですよ!
じゃあ、そんな江戸川乱歩にとって、日常生活はどう感じたのでしょう?
もちろんスリルですよ!
日常生活の一場面にも、江戸川乱歩はスリルを感じとれる人なんですよ!

犬の鼻は人間では、嗅ぎつけない匂いを嗅ぎつけます。

江戸川乱歩という存在もそれと同じだと思います。

普通の人にとっては、何気ない事も江戸川乱歩にとってはスリルなのです。
そして、江戸川乱歩は自身が感じたスリルを小説として書きます。

そして読者は、江戸川乱歩の小説を読むことで、

江戸川乱歩のスリルに共感して、日常に隠れたスリルを認識するのです。
なので次回は、江戸川乱歩のスリルに共感して、

日常に隠れたスリルを認識してしまった、自分の事を書いてみます。