はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

クリスティーの「複数の時計」再読

クリスティーが書いた「複数の時計」と「雲をつかむ死」という小説。

この2作品では冒頭から殺人事件が起きますが、

その事件現場が少々特殊な現場だと自分は思います。

なので、今回は先ず「複数の時計」について書いていきます。

1963年に発表された小説「複数の時計」
先ずは小説の序盤を簡単に説明します。

秘書引受所に所属しているシェイラの元に仕事の依頼が入りました。
その依頼とは、クレセント通りの集合住宅に住むミス・ペブマーシュの速記をするという内容でした。

しかし、シェイラはそのミス・ペブマーシュとの面識がありません。

その事を不思議に思いながら、ミス・ペブマーシュの部屋を訪ねると、
そこには中年男性の死体がありました。

そして、警察が捜査を始めると色々と不思議な点がでてきました。

まず、ミス・ペブマーシュはシェイラに仕事の依頼をしていませんでした。

次に死体が発見されたミス・ペブマーシュの住居には、

何故か4つの時計が持ち込まれており、

持ち込まれた4つの時計は1時間ばかり時刻が進んだ状態でした。

 

今回、「複数の時計」を再読した時、面白く読めましたが同時に、

この小説は【ポワロ・シリーズ】的ではない作品だと思いました。

どういう事かというと、この小説では名探偵ポワロが登場します。

しかし、ポワロは高齢の為、探偵業をしていない状況です。
なのでポワロは自宅で一日中、推理小説を読む生活をしています。

その為、事件の件で友人が訪ねてきた時には、

ポワロは今まで読んできた推理小説について友人と会話をします。

そして、この友人との会話が、実は事件解決への伏線のひとつなのです。
このポワロが友人と推理小説について話す場面と、ポワロが事件を解決する流れが何処かミス・マープルと似ていると自分は思いました。

haguture.hatenadiary.jp

*ポワロとミス・マープルとの違いについて書いた記事を張っておきます。

また、この小説ではコリンという人物が事件の調査に参加していますが、

彼の職業は秘密諜報部員です。そして、クリスティーは秘密諜報部員を主役にした【トニーとタペンス・シリーズ】を書いています。
補足:【トニーとタペンス・シリーズ】とは秘密諜報部員トニーとタペンスが活躍する小説。

なので自分は、クリスティーが書いた【複数の時計】という小説は、
彼女が長年携わってきた【ポワロ・シリーズ】と【マープル・シリーズ】と
【トニーとタペンス・シリーズ】をかけ合わせた小説だったのではないか?
と、再読した後にそんな妄想をしたのですが、実際はどうなんでしょう?