はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

「ミス・マープルと13の謎」再読

 

【「エルキュール・ポワロ」と「ミス・マープル」】

この2人は「ミステリーの女王」アガサ・クリスティーが創作した代表的な探偵です。
そして、この両者は自身の事を動物に例えています。
まず、ポワロは小説の中で自分を「猟犬」と例えている場面があります。
(ポワロは「猟犬」よりも「パグ」みたいだと、自分は想像をしています。)
そして、マープルは小説の中で自分を「おいぼれ猫」と例えているのですが、この例えは本当にピッタリだと思います。
何故そう思うのか?ミス・マープルの人物像について、簡単にまとめます。

・彼女は探偵ではなく、村に住む普通のお婆さんです。
・彼女は関係者の会話のみで、事件全体を把握します。
・彼女は事件の性質を、自分が過去に会った人物と当てはめ、
 その事件の犯人像を特定して、事件を解決します。

元々、ミス・マープルは読み切り型の連載小説の為、創作された探偵です。
ミス・マープルと13の謎」という文庫本は、マープルが初登場した、
読み切り型の連載小説13本を編集したものです。
その後、マープルは読者からの評判が良く、色々な作品に登場しますが、
どの作品でも、ミス・マープルの人物像に変更はありません。

アガサ・クリスティーは、ミス・マープルを創作する以前は、
推理小説の主人公は、エルキュール・ポワロを使用してきました。
しかし、クリスティー自身も名言してますが、ポワロは短編小説とは、
非常に相性が悪いのです。  捕捉:ポワロが主人公の短編小説もあります。

何故なら、
ポワロの捜査は、関係者に話を聞いたり、事件現場で調査したり、
警察関係者と会議をしたりと、色々と動く捜査をします。なので、
ページ数に限りがある短編では、ポワロの捜査は制限されてしまいます。
そこでクリスティーは、
まるで猫みたいに、動かない捜査をする人物を創作しました。
関係者との会話のみで事件を把握して、事件を解決する事ができる人物。
それが、ミス・マープルという「おいぼれ猫」でした。