はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

怪奇小説と推理小説の違いとは➁:再編集版

*今回の記事も、自分が以前に書いた「怪奇小説推理小説の違いとは」という記事を再編集した物になります

推理小説を読んだ人ならわかると思いますが、推理小説の主人公は助手的な役割を持った人物とペアになって事件を解決します。
では何故、主人公と助手的な役割を持った人物がペアになるかというと、
それは、推理小説家が自分の書いた小説の展開を読者により効果的に伝える手法のひとつであり、この手法を確立させたのはコナン・ドイルだと自分は思います。
なので今回は、ドイルの『ホームズ・シリーズ』を引き合いに出して、
推理小説の主人公と助手について書いてみます。

 

まずは、『ホームズ・シリーズ』のホームズとワトソンのやり取りを簡略的に抜粋してみます。

我々が留守の時に訪れた人物が忘れていった1本のパイプ。
そのパイプを手に取り、ホームズは私にこう言った。
「ワトソン、
我々が留守の時に来た人物は、何か心配事があったんだね。
でなければ、
こんなにも大切に使っているパイプを忘れるはずがないよ」

「ホームズ、そのパイプを大切にしていたことが、どうしてわかる?」
見た前、ワトソン。このパイプは2度修繕してある。そして2度とも、
パイプを
新しく買い直すよりも高い修繕費が掛かっている。
そこまでして古いパイプを使うという事は、よほど大切にしている証拠じゃないか?

「なるほど。ではホームズ、他にも何か変わった所があるのかい?」
「あとは、パイプの持ち主は筋骨たくましく、左利きで歯が丈夫で、
無頓着な性格で経済的な苦労がないぐらいしかわからないよ、ワトソン」
               シャーロック・ホームズの事件簿「黄色い顔」より抜粋。

さて、このホームズとワトソンのやり取りを元に説明してみます。
まず、主人公の言動に対して助手が反応する為、主人公は自分の言動について助手に説明をします。その為、主人公の言動にどんな理由があるのかを、作者は読者に自然と説明ができるわけです。
つまり、【主人公と助手を使用した手法】とは小説がどの様に話が展開するか、どの様な結末を迎えるのか?という事を読者に上手く伝える為に推理小説家が使用する手法であり、その手法を確立したのがコナン・ドイルです。


*画像は海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」より引用。

主人公と助手的な役割を持った人物がペアになって登場する設定は、
世界初の推理小説と言われている怪奇小説家:ポーの「モルグ街の殺人」で既に使用された設定です。
しかし、コナン・ドイルは頭脳明晰だが変人の探偵シャーロック・ホームズと常識人で医者のワトソンというタイプの異なる2人が掛け合う事を意識して『ホームズ・シリーズ』を書きました。
その結果、当時の
推理小説に慣れていなかった読者層にも『ホームズ・シリーズ』は読まれるようになり、推理小説というジャンルはより多くの人々に認知されました

だからもし、コナン・ドイル『ホームズ・シリーズ』を書かなかったら、推理小説というジャンルは無くなっていたかも知れませんね。

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