はぐれの徒然なるままに(仮)

肩こりと老眼が進行中の中年男性による回顧録

京極夏彦の「地獄の楽しみ方」

【小説家:京極夏彦の「地獄の楽しみ方」】
この本は京極夏彦が「特別講座」で講義した内容を文書化している為、
京極夏彦の言葉や会話についての講義を聞く感じで読める本です。
ですが、この本を読んでいる時、
『あれ?もしかして、自分は落とされていないか?』と、感じたのです。
なので何故、自分がその様に感じたかについて書いてみます。


*映画「姑獲鳥の夏」より画像引用。
京極夏彦は様々な小説を執筆していますが、
その中に【「百鬼夜行」シリーズ】というシリーズがあります
このシリーズは、小説の題名に鳥山石燕の【画集「百鬼夜行」】に登場する妖怪の名前が使用されている長編推理小説であり、登場人物達の【思い込み】が重要な要素となっております。
では、その【思い込み】とは、どの様な物なのか?
例えば、こんな殺人事件があったと仮定してみてください。

衝動的に人物Aが人を殺してしまいました。
パニックになったAは事件現場から逃げ出しますが、その様子を人物Bが見ていました。ですが、BはAに好意を持っていました。
なので、BはAの犯行だとバレない様に事件現場に細工をするのですが、
そのBの行動を人物Cが見ていたのです。
なので、Cは『Bが人を殺した』と思い込み、友人であるBを庇う為、
Cは事件現場を密室にして帰りました。

これが推理小説でよく使用される【思い込み】のパターンのひとつです。

*映画「魍魎の匣」より画像引用。
さて、登場人物達それぞれの【思い込み】によって、
事件が複雑化する構成になっているのが【「百鬼夜行」シリーズ】です。
その為、主人公の京極堂が事件を解決する時には、
登場人物達それぞれの【思い込み】を指摘する事により、
その【思い込み】を落とします。
この行為を京極堂は【憑き物落とし】と言っていますが、
「地獄の楽しみ方」を読んでいると、読んでいるこちらが【憑き物落とし】をされている感覚になったのです。
だから、自分はこの本を読んでいる時、
『あれ?もしかして、自分は落とされていないか?』と、感じたのです。

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