なので「お気に入りの横溝正史の作品」という記事を以前に書きました。
その記事を書いた時は、自分が今まで読んだ横溝正史の小説の中で、
印象的だった小説て何だろう?と考えて思いついた5本を書きました。
そして、その5本の中に「女王蜂」は入れませんでした。
何故、入れなかったというと、【女王蜂】という小説は面白いのですが、
自分のお気に入りの作品か?と、考えた時、ちょっと判断に迷いました。
なので【お気に入りの横溝正史の作品】には、入れなかったのです。
そこで、改めて「女王蜂」を読んでみたら、
「こんなに面白かったのか!?」と思い、一気に読んでしまいました。
自分がこの「女王蜂」を初めて読んだ時は20代後半でした。
その時には、気付かなかったのですが、
40代になった今だからこそ、気付いた事がありました。
それは、この「女王蜂」は推理劇と悲劇が両立している作品でした。
横溝正史の代表的な小説は愛憎劇的な作品が多いです。
その代表的な作品といえば「悪魔の手毬唄」ではないでしょうか?
【悪魔の手毬唄】では犯人の中で長年、燻っていた【負の感情】が、
ある事がきっかけで爆発して、連続殺人へと発展します。
でも【女王蜂】は違います。
この小説の中で起きた連続殺人の発端になったのは、
ある人物の【ささやかな願望】でした。
その願望の為に行った小さな事が、ある事件に発展してしまいます。
そして、その事件が尾を引いて、19年後に連続殺人事件に発展します。
この部分に、自分は悲劇的な要素を感じてしまいました。
次回はその悲劇について書いてみます。